正義の味方の続け方

『王は少女へと還る』

From "Fate/stay night" (C) 2004 TYPE-MOON
Presented by HIRO [TRASH BOX]































 ――シロウ、貴方を愛している。

 笑いながらそう言った。いや、言えたと言った方が良いのか。どちらにせよ、自分は最高の笑顔で彼にそう告げられたはずだ。
 王としての在り方ではなく、ただ一人の人間――存在として在って良いと彼は言ってくれた。
 初めは、彼の言っていることが理解できなかった。言葉としての意味ではなく、本質が理解できなかった。
 この身は、王としてのみを許された存在だ。民を導き、戦に勝利をもたらす存在。それ故の――それだけの存在だったはずなのに、彼は頑として譲らず、彼女を一人の女性として扱っていた。
 それが煩わしかった訳ではない。多少押し付けがましいところはありもしたが、彼のその真っ直ぐな心の在り方にはひどく好感が持てるものだった。しかし、それと同時に危ういとも感じていた。
 あの在り方はきっと間違ってはいないのだろう。だが、正しいと言えるものなのだろうか。

 あの別離に一つだけ未練があるとすれば、それは唯一つ。
 彼の行く末を見守れなかったことだけ。彼が目指したものを見届けられなかったことが唯一の未練。

 ――後悔は無い。ただ、未練だけが残る。

 別れは必然だった。それはお互い納得した。していたはずだ。柳洞寺の山門でこのまま遠くへ逃げようと思いもした。どこか遠くでひっそりと暮らすというのも考えた。
 しかし、自分達が下した決断は聖杯の破壊という選択だった。
 過去を無かったことにするために聖杯を求めた自分の選択は、間違っていた。辿った過去を全て無くしてしまうと言う事は、その間に落としたり、失くした物全てを否定するということ。それは、決してしてはならないこと。
 その道を辿ると言う事は、自分を形作ると言うこと。その中で失った物を取り戻すと言うことは、自分の行いを否定すると言う事であり、歩んだ道を否定することだ。
 人は失った物の為に前に進まなければならない。それは過去に失った物に対しての忠義だからだ。
 それを再び思い出させてくれた彼に、彼女は大いなる感謝をした。

 ――後悔は無い。ただ、未練だけが残る。

 本当は、別れたくなかった。当たり前だ。自分がこれほどまでに人を欲したことなどあっただろうか。王として人を導くために、国のために己を殺し続けた自分に、人として欲したものなど無かった。
 だからか、今は彼が恋しくて仕方ない。でも、自分は過去の人間だ。未来の彼と出逢えたこと自体が奇跡。ならば、これ以上の奇跡を望むのは贅沢と言うものだろう。

「そうかね? それはむしろ愚かと言う物だと思うがな」

 そう言って姿を見せたのは見知った顔だった。ついぞ見ない内に老けたのか、皺の数が若干増えているようにも見えた。

「これ以上の贅沢を望むのは私には有り余ることだ。私は、彼を愛したという事実だけで十分です」

 死して、漸く自分を受け入れられたと思う。己の幸せを願っても良いのだと認められたのだと思う。そして、それを気付かせてくれた彼には感謝してもし尽くせない恩がある。
 しかし、この身にはそれで十分だった。

「ふむ。今の言葉、一つ間違っているぞ」
「……? 何がですか?」
「『愛した』のではなく、『愛している』の間違いだろう。おまえは一途だからの」
「……そうですね。それは素直に訂正します。うん。私はシロウを愛している」
「なんじゃつまらん。昔の堅物のような性格は何処に行った」

 これだから女は恐ろしいと溢すが、それはしっかりと彼女に聞き取られていたようだ。しかし、彼女は目くじらを立てずに、ただ、満足そうに頷くだけだった。

「訂正ついでに、その認識も訂正したらどうかね」
「認識……?」

 何のことだろうか。自分はまだ何か間違った道を進んでいるのだろうか。
 彼女の思考を読んだのか、あるいは長い付き合いからか、彼はかぶりを振って否定した。

「おまえさんの道は正されとるよ。じゃが、それでもまだおまえさんはその道を進みきれていない」
「それは仕方ないことではないか。私はこれからその道を進むのだから」
「戯け。道はそれを見つけた瞬間からすでに歩いているものだ。が、おまえはまだその道を正しく歩いてはいない」

 どう言う事だろうか。いつもの様になぞかけをしてくるような調子で話す彼に、彼女は憮然としながら言った。

「正しい道を正しく歩くことは難しい。それは険しくて困難なことだが、歩けていないと言うのは変だ」
「ああ、変だとも。道を認識しているのに、おまえはまだ肝心なところを押し込めている。それ故に歩けていない」

 何を押し込めていると言うのか。もう、王ではなくなった自分に、押し殺すことなど無いと言うのに。

「はぁ。これ程までに堅物だとは思わなんだ」

 やれやれと言った溜息を吐いて、彼は頭を抱えた。その仕草に、すこし頭に来るものがある。

「人を小馬鹿にするのは止しなさいといつも言っているでしょうに。貴方のその癖、一体何時になったら治るのですか」

 こちらも負けないくらいに疲れた溜息を吐きつつ言った。彼は彼女とは違い、軽く笑ってそれを流す。自覚はしているが、治す気はさらさら無いらしい。それに彼女は、さらに深く息を吐くのだった。

「わしゃ好き勝手に生きとるだけだ」
「それが周りの人間には困ると言っている」
「それは気付かなんだな」

 絶対に解ってて言っているに決まっている。彼女はそう決め付けて、さっさと先を促すことにした。軽口に付き合うのは存外疲れると散々悟ったからだ。

「まあ、わしの事は良いわい。それで、おまえさんの間違いじゃが……」

 そう言って、彼は軽く手をかざした。手の先に淡い魔力の粒子が収束する。仄かな光を発しながらその魔力は目の前に小さな窓を形作った。
 彼は彼女にその窓の向こうを見るように促す。彼女は窓の向こう側を覗いた。

 そこには、かつて愛した少年が、青い騎士に襲われている映像だった。

「なっ! これは一体どう言う事ですか!?」

 あの忌まわしき聖杯はこの手で破壊したはず。なのに、あそこにいるのは確かに剣を交えたランサーだった。
 まさかまたあの忌まわしい戦争が起こったとでも言うのだろうか。
 しかし、彼は彼女の問いには答えず宥めるだけ。

「まあ、慌てるな。見せたいものはまだある」

 今にも窓を蹴破って向こう側に行こうとする彼女を宥めて、彼は指先を軽く振った。
 窓の外が切り替わる。それはさながら紙芝居のように、紙を引き抜いたかのような様変わりを見せた。
 外に見えるのは無限の荒野。そこには幾たびの人の屍が転がった死地。そして、そこに立つのは赤い外套の男だけ。すすけた白い髪と、ぼろぼろの衣服を風に吹かせるままにして、彼は一人荒野に立っていた。

「アーチャー……」

 荒野に立つその姿は見たことがあった。あの聖杯戦争で凛のサーヴァントであった存在。アーチャーのクラスを冠していた英霊の姿がそこにあった。
 そして、また映像が切り替わる。次に見えたのは体中をあらゆる剣で串刺しにされるアーチャーの姿。それを突き刺したのは彼が助けたはずの人々。
 彼は人々にただ笑顔を向けたまま、静かに逝った。
 ただ、一言呟きながら。

「ば、かな……。アーチャーがシロウだったなんて……」

 思いつくはずが無い。外見が違う。性格も違う。そして、目指すべきものが対極にあった二人が同一人物だと、誰が想像できるか。
 彼女が気付いたのは最後の言葉を聞いてからだった。それまでは全く別の人間だと思っていたのだ。それも、あの言葉を聞かなければ気付けないほどに、彼は変わり果てていた。

「あの男は満足して逝ったようだな。自分の夢を追いかけ続けて、理想に抱かれて死んだ。なんとも満足感の高い人生だのう」

 その言葉に、彼女は我を忘れそうになった。

 ――満足? これが? 人々を護り通したと言うのに、その護るべき人々に殺されるような人生が満足だと言うのか!?

 それは、それは絶対間違っている。人を護ることは正しいはずなのに、なのに、彼は護った人々に殺された。それは、悲しすぎる終末だ。

「こんなことが許されていいとでも? これでは、これではあまりにも哀れだ!」
「そうかね? 彼は自分の理想を叶えて死んだのだぞ?」
「違う! こんなものが彼の理想であったはずが無い! こんな終わり方を望むのは間違っている!!」

 彼女の言葉は悲しみに濡れていた。
 彼の信じた道は歪んではいたが、決して間違ってはいなかった。なのに、こんな終わり方しか出来なかったと言うのか。それでは、彼があまりにも、あまりにも……っ!

「この結末を見て、おまえはまだ気付かないのか?」
「………………」

 見過ごせるはずが無い。これを見て、あの未練は後悔となって彼女に覆い被さった。

 納得のいく別れ?
 後悔などは無い?

 そんなもの全てまやかしだ。この事実を見て、在ってはならない結末を見て、どうして未練など無いと言えようか。
 今すぐにでも彼の元に行って説得しなければ……、

「いー感じで暴走しとるようだの、猪突猛進娘」
「あたっ。いきなり何をするっ」

 軽く握られた拳で頂点を軽く殴られた。衝撃はそれほどでもなかったが、芯に響く痛さだ。

「これだけ見せて、まだ気付かぬとは……。頑固者もここまでくれば驚嘆ものだわい」

 やり切れない思いと言うか、煮え切らない感情と言うか、そう言ったものを少しでも吐き出しながら、彼は言う。

「あの小僧を心配するのも大事だが、あの小僧と共に在ろうとするおまえの気持ちにも少しは気付け。この大戯けめが」
「なっ……」

 彼女が驚いている間に彼は捲くし立てる様に言った。

「心配? 哀れ? そんな感情などいらん。おまえさんのそのちっぽけな胸の内に眠る感情などに比べればこれまたちっぽけで薄いものじゃ」

 それでもなお彼の言葉の真意に気付いた様子も無いことに苛立ちを覚える。

「ここまで言って気付かぬか馬鹿娘。おまえが今感じている感情は全て、あの小僧の元に居たいと言う願望から零れ落ちたものだ。
 心配をするのなら傍でしろ。
 哀れと思うのなら傍でしろ。
 小僧にあの道を歩ませなくなかったら自らの手で軌道修正してやれ」
「し、しかしっ! 私にはもう彼と逢う事は……」
「叶わないと申すか? ならば、これを見よ」

 彼が指を振って、指し示したのは先ほどの窓。そこには青い騎士が彼にその血の様に赤い槍を向けている場面だった。

「いま映っているのはおまえがいた世界の出来事。そう、丁度おまえさんがあの小僧に呼び出される一歩手前じゃな」

 そんなもの、見れば解る。そう言いたげな彼女の視線に彼は意地の悪い顔をして笑う。

「ここで問題なのは、この世界はお前がいた世界と同じ世界じゃ。つまり、いまの記憶を持っているおまえさんがこの場面に出向けば、世界からの修正が起きる。つまり、世界から爪弾きに遭う訳じゃ」
「それでは意味が無い。私は彼の道を正さねばならない」

 かつて剣に誓ったその誓いを破るわけにはいかないのだ。あの悲劇は絶対に起こしてはいけないものなのだから。
 それ故に、彼女は彼を護る。あらゆる厄災から護ると誓ったのだから。

「この世界で起こった未来の事を記憶に持ちながら、おまえはこの瞬間ときに出向きたいと思うか?」
「当たり前だ。私はあの終末を知ってしまった。知ってしまったからには、放って置く事など出来はしない」

 それが愛しいと思う異性ならば、なお一層のことそう思える。

 ――ああ、漸く彼の言いたいことが理解できた。

 つまり、自分が押し殺していたものとは、彼に逢いたいと言う感情のことだ。このどうしようもないほどに胸を締め付ける苦しい気持ちに自分は気付かない振りをしていただけ。彼の傍に在りたいと思うこの感情を押し込めて、ただ、思い出として終わらせようとしていたのだ。
 なんて自分は愚かなのだろう。そう思ってしまえば、彼の言葉が悉く突き刺さる。自分が気付かなかったこの感情を、彼は気付いていたのだ。

「漸く気付いた様だの。おまえは小難しいことにはとんと向かん癖に物事を複雑に見ようとする。事の真理は単純であることをそろそろ察したらどうだ?」
「確かに私は思慮深くは無いが、それは言いすぎだ」
「何を言う。戦の時でも、騎士の知恵を借りてばかりいたではないか」
「それとこれとは話が違うっ!」

 いつもの軽口が始まりかけて、彼女は顔を赤らめながらも、軌道修正を図った。

「それで? 私は自分の感情に気付いてしまった。この後始末、どうやって着けてくれるのだ?」
「なんじゃ? 自分のことなのに他人に解決させる気か?」
「悔しいことに、私の力ではこの問題を解決できそうに無い。ならば、人に頼るのが正しい選択だ」
「ふん。素直になったらどうなんじゃ」
「貴方の性格がそれをさせてはくれないのだ」

 互いに笑い合うと、二人真剣な顔になった。

「では、そろそろ始めるとするかの」
「しかし、このまま私が行っても世界から弾かれるのでは……」
「なに。心配など初めから無いわい」
「……どう言う意味ですか?」

 陽気に笑う老人に彼女は半眼で睨んだ。

「そう怖い顔をするな。まあ、反則級な裏技と言ったところでな」

 初めにそう断って、彼は語った。
 彼女が英霊として呼び出されたのは、英霊となることを確約としたからだ。つまり、権利の前借をしていたと言う訳である。そして、絶対条件として聖杯が絡む時は優先的に彼女が手に入れられるようにされていた。
 しかし、彼女は自らの目的を果たせぬまま死んだ。正確に言えば、契約を違えたのだ。
 だが、

「彼のアーサー王がわざわざ前借して英霊にならずともこうして英霊として存在しているのは事実。つまり、偽りの英霊であったおまえと、いまここにいるおまえとでは違う存在として認識される。
 それはつまり、同質であり異質である存在なのだ」

 だから、あの聖杯戦争の記憶を持っていても彼女があの世界から弾かれることは無い。

「なら、私はシロウの元に帰れるのですね!!」
「慌てるな粗忽娘。おまえは言わば過去へと向かうことになる。つまり、過去とはゼロと言うこと。おまえが経験してきたことは全て起こるであろうこと。
 翻せば、あの小僧はおまえの感情なんぞ全く知らぬと言うことだ」

 その言葉に、彼女はぴたりと止まった。
 つまり、自分の気持ちとか彼と共に培った信頼関係とかあの暖かい食卓とかがもしかしたら今後経験できないかもしれないと,彼は言っている。
 それは、非常にまずいことだ。
 気が付けば、彼女は能面にも似た表情のまま彼に詰め寄っていた。

「なんとかならないのですか」
「棒読みで迫るな!」

 何とか引き剥がして、一息落ち着く。

「こればっかりはどうしようもない。だが、あの小僧くらい堕とせんで道を正すことが出来ると思うか?」

 お得意の意地の悪い顔で彼は笑う。その言葉に彼女は顔を赤く染めながら、わたわたと手を振る。

「ま、それくらいの意気込みを見せよ。未来を変えるために、おまえは前回よりも苦難の道を歩むことになるのだからな」
「……いろいろと文句を言いたいところだが、貴方がいなければ何も解らなかったでしょう。このことは不問にしてあげます」
「それは良いご判断で」

 彼女は少し拗ねた顔をして、そして真剣な顔で彼に言った。

「では、お願いさせてもらう。私を、シロウの元へ送ってくれ」
「そう言うところで殊勝に頭を下げるとか出来んのか」
「生憎と」
「やれやれ」

 そして、彼は魔術を編み始めた。青光の煌きを散らしながら、彼女を中心に魔法陣が浮き上がる。

「では達者でな。出来れば戻ってくるな。戻ってくるなら、子供の一人や二人連れて来い」
「あ、貴方と言う人はこんな時まで、それでも大魔術師マーリンなのですかっ……!」

 光と同化しながら、彼女は虚空へと消えて行った。窓に目を向ければ、騎士の槍を寸での所で受け止める彼女の姿を認め、彼は柔らかに笑う。

「やれやれ。あの単純娘にも春が来ようとはな……」

 その言葉は、誰ともなく呟かれ、空へと消えて行った。





/ / /






 迫り来る死の気配。視認出来ないくらいの速度で迫り来る赤い軌跡を眺めながら、衛宮士郎は死を覚悟した。風を切り裂きながら振るわれた槍の一撃は、確実に彼の生命を断つだろう。
 これまでどうにか迎撃出来て来たのは単に運が良かっただけ。これ程までに歴然たる力の差の前では、半人前の魔術師の実力しか持たない自分には埋められない差だ。
 しかし、死を覚悟して彼はまだ諦め切れなかった。
 だって、自分には叶えなければならない理想がある。その理想を叶える前に死ぬことは、この身に許されない行為だ。だから、こんなところで、こんな死に方は在ってはならない。

「こんなところで……」

 ならば、抵抗しろ。最後の血の一滴が流れ尽くすまで抵抗しろ。未だ自分が成し得なければならないことを何もしないまま、ここで朽ち果てるわけにはいかないのだから。

「死ねるかっ!!」

 飛来する刺突。絶望的なまでに正確でかわしようが無いそれに、士郎は半ば意地だけで動く。しかし、向こうの一撃は彼の何よりも速かった。
 この一撃は衛宮士郎には防げるものではない。ならば防げるものとは一体何か。そこに浮かんだのは一本の剣。
 黄金の光を発する聖なる剣が彼の頭の中で構築されていく。
 その剣を取れば死を回避できる。その一念だけで士郎は、剣を創造描き出した。



 辺りに響くのは金属を擦り合わせる甲高い音。ランサーの槍を受け止めたのは、士郎の真後ろから生えた不可視の何か。
 その何かはランサーの槍をいなし、体勢を崩したその隙を突いて彼に襲い掛かる。

「ちぃっ! 七人目のサーヴァントか!」

 悪態を吐きながらランサーは土蔵から撤退する。それを見届けた不可視の剣の主は、おもむろに振り返った。
 風が吹いた。今日は風が一段と強い日だった。
 風が吹き込み、その風が彼女の髪を揺らす。月を真後ろに背負った彼女は淡い光の中に佇み、士郎を眩しげに見ていた。
 黄金のような映える金髪。深く吸い込まれそうな翡翠の瞳。固く結んだ唇はそれでも笑みを浮かべていた。

「問おう。貴方が私のマスターか」

『セイバー。俺は間違っていたのだろうか』

 今際の際に聞き届けたその言葉。彼女はそれを確かめるべく、彼の前に再び姿を現した。

 ――今度は間違えない。私は貴方に正された。だから、今度は私が貴方を正す番です。

 彼の令呪が一鳴り震えた。サーヴァントとして確かに繋がりがあることを確信できた。

 ――ああ、この感覚だ。この純粋で真っ直ぐな魔力はやはりシロウそのものだ。

 その事実に顔が綻びそうになり、しかして、表には出さなかった。

「ここに契約は成った。以後、この剣はマスターと共に在り続けよう」

 ――全てはこれからですよ、シロウ。





















 あとがき
 やっちまった系第……いくつくらいかなぁ。まあとにかく、やっちまったもんはしょうがないとしましょう。
 なんだか流行っているような逆行もの。その中でも多いのが英雄エミヤが戻るやつ。うんで、時折凛が戻ってたりするしで、ネタ的に被るならあんまり逆行してなさそうなセイバーさんに決定しました。
 まあ、彼女が一番可能性的には高い方であることは間違いないんですが……、このセイバーさん。一体全体どうやって士郎を救う気なのかなぁ。(ぉ
 書いた作者でも解ってないし。(ぉぉ
 まあ、突発的なものですから連載は考えてないんですけどね。(とか言ってると、かつての二の舞になりそうだ)
 まあ、反響次第と言った所ですかね。
 では、縁があったらまた会いましょう。